第10章 Betrayal
「俺が兄貴の死の原因は自分だと言って責め続けるのを止めてくれたのは伊織、お前だった。
お前は泣きもせず、腐りそうだった俺をケンチンや三ツ谷の元に返して立ち上がらせてくれた。」
『…』
「そのままじゃすぐに倒れそうな俺を両側から支えてくれたのがケンチンと三ツ谷だった。」
「…」
「パーは口ではなんも分かってないとかいいながらも、俺の背中を守ってくれてた。」
『…』
「…」
「…大分立ち直ってきた頃、一虎があの事件以降、俺を恨んでたことを知った。
アイツは俺を敵と見做している。
それを知った。」
万次郎はそこまで言うと、顔を伏せ、足元の波紋をただ眺める
「…俺、わかんねえんだ…
一虎にとって、俺は本当に敵なのか…?
俺がアイツを壊したのか…?」
「マイキーそれは…「違う。」
『…ぇ?』
「…俺が一虎を壊したわけじゃない。
一虎は自分を保つために俺を敵にするしかなかった。
…一虎はまだ、壊れてない。」
「…?」
『?』
「そう言って俺を留めてくれていたのが、場地だった。」
「…」
『…』
「…俺は、お前ら全員が居ないと息ができない。
立ってられない。
そして何より…俺はどうしてもお前らを、場地を、一虎を敵だと思えない…」
『万次郎…』
「マイキー…」
少しずつ雨粒が小さくなって、波紋の直径も小さくなっていく
「…でも、俺はあれから一虎だけには会ってない。
…頭では敵だと思えない、そう思うのに、アイツを目の前にすると俺は自分がどうなるのか…全くわからない。」
「…」
「それがどうしようもなく怖い」
ポツリ
私の傘から落ちた雫が足元の水溜りに落ちる
『万次郎、話してくれてありがとう。』
「伊織…?」
『大丈夫。カズくん目の前にして、万次郎がどんな風になったって、私たちが絶対どうにかするから。
…いつもの万次郎が望まないことは絶対させない。
私たちがみんなで万次郎を守るわ。』
「伊織の言う通りだ、マイキー。
お前がどんな選択をしようと、俺たちの命は全てお前と一緒だ。
安心して進め。」