第56章 ホグズミード村
「あの猫を捕まえろ!」
ロンが叫ぶと、クルックスシャンクスは抜け殻になった鞄から離れ、テーブルに飛び移り、命からがら逃げるスキャバーズのあとを追いかけた。ミラは素早く手をクルックスシャンクスに合わせると、五本の指を内側に折り曲げた。
「捕まえた」
クルックスシャンクスは駆け出したところを、不自然に空中で止まっていた。ロンは古い整理箪笥の下に潜り込んだスキャバーズを引っ張り出そうとした。ハーマイオニーは不自然に浮いているクルックスシャンクスの胴体を抱えると、ミラは手の力を抜いた。
「ミラ、すごいね。コントロールできるんだ」
「クルックスシャンクスがヒッポグリフのサイズじゃなくてよかったよ」
ハリーはミラの顔を覗き込むと、ミラは得意げな顔を見せた。
「これくらいじゃあ鼻血は出ないさ」
「本当に?フラついたりは?」
「大丈夫。言っとくけど、多分ハリーだって持ち上げられる」
「見ろよ!」
散々手こずりながら、なんとかスキャバーズの尻尾を引っ張り出したロンはカンカンに怒っていた。
二人は声を荒立てて言い合いを始めた。ミラとハリーは二人を止めようと間に入ったが、ロンはかなり頭に来ているようで、とてもじゃないが納めることが難しいと思った。
「そのケダモノを二度と近づけるな!スキャバーズの方が先輩で、それから病気なんだ!」
そう言って、ロンは肩をいからせて談話室を横切り、寝室に向かう階段へと姿を消してしまった。