第8章 嘘の裏側/緋色シリーズ
***side叶音
あれ…昨日はどうやって寝たんだっけ…ってか今何時…?
手探りでスマホを探し、まだまだぼんやりしている視界をこじ開け、ディスプレイを見た
『10:49』
「えぇっ!?」
ガバッと布団から飛び起きると、やたら下半身に違和感を感じ再び布団に身体を戻した
そうだ、昨日は久しぶりに零に最後まで…なんて、事を思い出し恥ずかしくなる
途中から何も考えられなくなったところまでは覚えてるけど、その後は何も覚えてない
きっと意識を飛ばしたんだろうけど、身体も服もきちんと整えられているのを見ると零の優しさが感じられ、隣りにいて欲しかったな…と寂しく思った
でも仕方がない、もうこんな時間である
登庁しないといけない時間なんてとっくに過ぎているのに、零がそのままオレをおいていったと言うことは、そのまま寝てろって意味かな…
怠さの残る腰を上げ、ベッドサイドのテーブルを見るとしっかりと手紙が置いてあった
『徹夜で本庁にいた分、今日は1日休暇を取ること。申請は出してある。明日から例の件で動くことになるからゆっくりするように。
P.S 一緒にいてやれなくてすまない』
甘い…
零は本当に甘い…
「甘くてとろけそ…」
熱くなる顔を両手で覆った
さて…シャワーでも浴びて午後からのことでも考えるか…
そう思ってジワジワ違和感の残る身体を動かし風呂場に向かう
通って来たキッチンには温めて食べられるようにとご飯があり、やりっぱなしと言われた洗濯も洗濯機の中を覗くと空っぽになっていて、至れり尽くせりな状況に申し訳なく思う
そして風呂場の鏡に映る自分はと言うと、身体中に模様を付け誰にも見せられない状態になっていた
でも昨日と違うのは、なんだかちょっぴり嬉しい気分だということ
「へへっ…」
沖矢さんに付けられた所も更に重ねて濃くなっていて、歯型も見える
何も言わなければ虐待でも受けているのかと疑われてしまうような内出血になっていて痛々しいが、オレはこれで良かった
もうあの時の沖矢さんのことを考えるのはやめよ…
零に嫌われるなんて思うのもやめよ…
自分は何もできないなんて思うのも………いや、それは善処しよ…
身体を動かす度あちこちに見える零に、少し熱いくらいのシャワーで火照りを隠した