第9章 たまには君から
「交流パーティー、ですか?」
掴みかけた卵焼きがぽとりと落ちる、殺風景な空き会議室の机にはそれぞれの昼食が広がって
鮮やかな断面のサンドイッチを片手に、香山先輩が私にウインクをした
「雄英の教職員と関係会社、そしてスポンサーが一同に会する立食パーティー!!」
年一回の催し、来週開催されるらしいその会の華やかな光景を想像し思わず笑みが溢れる
「あなたの赴任前に案内が来てたの、お伝えするのが遅くなってごめんなさい」
「皆で参加するんですね!」
とっても楽しそう、もぐもぐと頬張る私を見て香山先輩が意味ありげに微笑んだ
「一人を除いて、ね」
困ったように吐かれた溜息、脳裏に浮かんだ彼の顔に私は小さく吹き出した
「相澤くんは不参加かぁ・・」
「もう、本当に困るわ」
俺はそういうの遠慮します、顔を顰めた香山先輩が声真似をすると飲んでいたお茶が気管に入った
「っふふ!目に浮かびます」
「でしょう?でも今回はあなたが居るから事情は違ってくるかもね」
そう言って不敵な笑みを浮かべた彼女が机の下から大きな箱を取り出して
上品な柄の包装紙に包まれたそれを隣の机に置くと、恭しく私の前に差し出した
「はい、プレゼント」
「え、?」
「開けてみて」
お箸をケースに戻し言われるがままに蓋を開ける、
白い薄紙をめくりビジューの散りばめられた布地を持ち上げると、素敵なロングドレスが陽の光に煌めいた
「うわぁ、綺麗・・!」
箱の中にはパールのアクセサリーと煌びやかなハイヒールが輝いて、ここが学校であることを忘れてしまいそうになる
「みんなドレスアップして臨むの、あなたに似合うと思って用意したわ」
どうかしら?、予想外の言葉に目を見開くと香山先輩が悪戯っ子のように笑った
「こんな素敵なもの、頂けません・・っ」
「あなたが参加してくれると場が華やかになって助かるのよ、学校の宣伝効果もばっちり!」
でもエスコートが必要よねぇ?、色気たっぷりの上目遣いにどきりと鳴った胸、弧を描いた唇がカップに触れると鮮やかな薔薇色がくっきりと残る
「彼にも見せてね」
「は、はい、もちろん・・っ!」
「・・相澤くんが無理なら、そうねえ」
他の男性にエスコートをお願いするしかないわね、挑発的な笑みを浮かべて彼女はデザートの苺を摘んだ