第37章 オレの『帰る場所』
「何これ?」
「さぁ?中身は流石に見てないわ。じゃあちゃんと届けてましたからね!それでは!」
他の仕事で忙しいのか、看護師はそそくさと病室を出て行った。三人は高級そうな紙袋をじっと見つめる。
「なんか買ったのか?」
「んー…記憶にねぇけど…」
「でも万次郎が買ったんでしょ?しかも随分と高そうな紙袋…」
身に覚えがない物を押し付けられ、マイキーは困った顔を見せる。
「とりあえず中開けて見るか」
オーバーテーブルに紙袋を置き、中身を確認しようとした時、ピタッと動きを止めた。
「(あれ…でもこの紙袋…見覚えがある?最近どこかで見たような…気のせいか?)」
中には一枚のメッセージカードが入っていた。手にしたマイキーはそのメッセージを読む。
【この度は当店でのペアリングのご購入有難う御座います。】
「ペアリング?」
【こちらの指輪は"ふたりを繋ぐ愛の絆"をコンセプトにしており、二つの指輪がお互いの愛を永遠に繋ぎ止めるという意味合いが御座います。】
「(指輪…?)」
【どうかこの先もずっと、永遠の愛がお二人の絆を強くさせますように───。】
「(…永遠の愛。)」
『もうすぐ彼女の誕生日なんだ』
「!!」
その瞬間、失った記憶の一部がフラッシュバックする。場所はショッピングモールのアクセサリーショップ店だった。
『それで指輪贈りたいって思っててさ、ペアリングで中学生でも買える安いのってある?』
「(彼女の…誕生日…?)」
『オレの彼女めちゃくちゃ可愛いからお姉さんもビックリするよ。たまにツンが多めなんだけど笑った顔とか照れた顔がマジでやべえの。可愛すぎて天使』
『な、オレの彼女すげー可愛いだろ!髪型も可愛いし、紫色の目も綺麗で、オレのことが大好きって気持ちがダダ漏れてるよな〜♥』
「(…これはオレの失くした記憶か?)」
少しずつ甦る"あの日の記憶"。
『(まさか誕プレが指輪なんて思わねーだろうな。アイツも期待してるって言ってたし、ぜってー最高の誕生日にする。)』
「(誕プレ…そうだ。もう少しで"アイツ"の誕生日だから指輪を贈りたくて、ペアリングを買ったんだ。)」
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