第1章 犯人は僕です?いいえ、犯人は私です。【コテージ編】
「私を甘く見ないでちょうだい」
「…クロサキちゃんなんかキライ」
大粒の涙を流したミドリは黙って部屋から出て行った。みんなの視線が痛いほど刺さる。でも私が悪いんじゃないわ。あの子が私を裏切ろうとするからいけないのよ。
「(やっぱりミドリは難しいわね…)」
その後、会議は解散となり、重苦しい空気のまま、みんな部屋に帰っていった。状況は更に悪化した。
夜も更け、眠りにつこうとした時、ミドリから呼び出された。
「リビングなんかに呼び出して何か用?」
「さっきはどうも」
「(…何かさっきと雰囲気が違うわね…)」
「さっきはよくも借金のことをバラしてくれたね…」
「それで…?」
「どこまで知ってるか知らないけど、お金の貸し借りなんて誰でもすることでしょ?」
「それにしたってミドリの借金は常識を超えてるわよ」
くしゃくしゃになった催告書をミドリに突きつける。
「ミドリ、この額でもよくあることで済ませられるの?」
「……………」
「相当な金額よ、これ。」
「確かに普通の額ではないよ」
「(…あまり動揺しないのね。)」
「…わかった。今日のことは謝るよ。犯人と決めつけるのは強引だった」
「わかってもらえて良かったわ」
「もう犯人なんて言わない。そのかわり…私を犯人呼ばわりするのもやめてね」
「もちろんよ」
「やっぱりクロサキちゃんは思った通りの人だった」
「…どういう意味かしら?」
「“大嫌いなクロサキちゃん”だってことだよ」
「……………」
ミドリは嫌味たっぷりに笑った。
「私…クロサキちゃんのこと、甘く見てないつもりだよ。」
「そう……」
「今のところは、だけどね」
「今日のことでミドリの印象が変わったわ」
「どう変わったの…?」
「平気で友達を裏切って、周囲を混乱させる、ある意味厄介な女だってことをよ」
こちらも嫌味たっぷりに笑う。
「じゃあ私は部屋に戻るね」
「(意外とすんなり帰るのね…)」
「私、女優の才能あるかな?」
帰り際、ミドリは最後にまたニコッとして部屋に戻っていった。
「…やっぱり演技だったのね」
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