第39章 dignity ■
「ねぇ、聞いて恵。」
五条が緩やかな口調のまま喋り出した。
「僕はね、大切な存在を何度も何度も失ってきたんだ。それでね、思ったんだ…」
フゥと息を吐いて前のめりになった。
「自分の気持ちに全力で素直になってないと、いつか死ぬほど後悔するってね。何もかもが遅かった時には、何もかもが言い訳になってるんだよ。」
目隠し越しの目線は下を向いている。
口角は僅かに下がっていて、誰かに語りかけているのではなく、まるで独り言のように聞こえる。
「僕はね、1度死んでるんだ。」
「…は?」
「あの頃の、
なにもかもに中途半端だった "俺"はもういなくてね。
だから今の "僕" はさ、もう二度と後悔はしないと誓ってるんだよ。もう二度と、死なないと誓ってる。」
「・・・」
しばしの沈黙が流れ、
今までにないくらい不思議な空気が二人の間に流れた。