第14章 蜂蜜
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『…それでここが、』
移動続きで疲れてるだろうけど、さっと手短に家の案内。
これがとりあえず伝えておくべき最後の部屋。
「…え」
『好きに使っていいよ、って』
「え、アキくんてゲーマーなの?」
『ううん、人並み?よりしないくらいじゃないかな』
「でも全部最近のばっか」
『カズくんも住むし、研磨くんも長期滞在が不便じゃないようにって、
お兄ちゃんやっぱ、過保護っていうか甘いよね』
ゲーミングPCはじめなんか、いろいろ。
わたしにはよくわからないけど、カズくんにはかなり夢のようで。
研磨くんにとっては今となっては日常となった時間をここでも過ごせるような。
いわゆるゲーム部屋。
『だからなんなら、わたしが長期でこの家を空けていたって研磨くんはここで過ごせる』
「…ふ 確かに」
『…なので、遠慮なく、好きにつかってね。一緒にできたらカズくん喜ぶ』
「ん、アキくんにメールしとく」
『うん? あれ?』
「ん?」
お兄ちゃんはあと数日はカリフォルニアにいるんだけど…
俺から研磨に伝えとくーなんて言ってたのは、内緒にしてるのだろうか。
「え、アキくん開幕戦のためにもうオーストラリアに行ってるんだよね?」
『ん? そうだ、ね、月末にシーズン開幕』
「……え、まだこっちいるの?」
『ん? うん?』
「うわ、嘘つかれた。 まぁいいけど別に。 え、でも車3台全部あったよね」
『今日は、うん、自転車でカフェまで行って友達と落ち合うって』
「…たまに考える。 どうやって返せばいいのかなって」
『うん?』
「アキくんとか、いろんな人への恩?みたいなもの」
『………』
研磨くんは座り心地の良さそうなゲーミングチェアに腰掛けて、
くるくると左右に揺れながらぽつぽつと言葉をこぼし始めた。