第12章 Hi!
ー穂波sideー
──洗濯物はすっかり乾いていて。
それどころかいつ誰が、だろう。
干せる限りの、家にある来客用の布団が干してあって。
圧巻の眺めだった。
お布団はまだもう少し、干しておけばいい。
とりあえずわたしたち二人分のいつもの洗濯物を取り込むことにした。
「おしゃれと懐かしいのどっちもをとるそういうのん、なんなんやろな」
『え?』
「その籠」
縁側にもどると、
籐で編まれたランドリーバスケットを顎で指して、侑くんが言った。
『ねー、工芸品のなせる技なのかなぁ。そういうものって、工芸品、と呼ばれるものが多いと思わない?』
「工芸品。これも?」
『うん、そうだと思うよ、わたし的には』
「これええな、かっこええし、でも妙に懐かしいし、なんか肩肘張らんっちゅーか。
でも何がどうって、ええもん、大事に造られたもんってのがわかるんがええわ。
馴染みやすいし、とっつきやすいけど、テキトーとは程遠い」
侑くんは研磨くんと入った古道具屋さんで見つけた、
籐で編まれた小さな台にガラスが張られた、小さな、台みたいなのをさすさすしながらそんなことを付け足した。
そしてそこにはさっきなかったグラスが二つ。
冷たい麦茶が入ってるんだろう、汗をかいてそこにあった。
「お茶もろてきた」
『ありがとう、ちょうど喉かわいたなって』
「ぉん。 そんでな、穂波ちゃん」
『うん?』
「工芸品って何?」
『え? んー? なんだろう、確かにイメージでしか知らない。
ちょっと待ってね、辞書持ってくる』
「ぉん、ええ子やな、思った通りに動いてくれるやん」
『ん?』
「なんでもないし、辞書持ってきてや」
『うん、ちょっと待っててね』
辞書は自分の部屋に置いてある。
居間を通っていく方が近いけど、みんなもいるしなんとなく、
一旦寝室を抜けて廊下に出て部屋まで向かうことにした。