第12章 Hi!
ー研磨sideー
「もしもし」
『あ、研磨くん。今大丈夫?』
「ん、大丈夫」
15時を回って、ちょっと甘いものでも飲もうかなって思ったら小包が届いて。
それほどこうと思ったら穂波から着信。
向こうは夜の10時を回ったくらいかな。
『写真の人はね、一くんって言ってね、及川さんと仲のいいお友達なの。
研磨くんとクロさんとか、蛍くんと山口くんみたいな……しんゆ…
幼馴染っていうのかな、うん、すごく仲の良い人』
「…へぇ、そんな人に会ったんだね」
穂波はほぼ言いかけたその言葉を飲み込んで、幼馴染って言い直した。
「…ふ。 それで?』
『…それでね、オレンジを………』
家に帰る前にカズマと買い出しに行ったこと、オレンジを買いすぎたこと、
坂でオレンジが転がったこと、カズマがスケボーに飛び乗って坂を降りて行ったこと、
通行人がオレンジを拾ってくれて、そのタイミングで歩道に乗り上げようとしてたカズマとかち合ったこと。
カズマが咄嗟にすごい高くオーリーで飛んでことなきを得たこと。
オレンジを拾ってくれた人が面識のある人だったこと、ハジメくんって人だったってこと。
穂波は嬉しそうに、でもあくまでも落ち着いた様子で話してくれた。
目の前にいるみたいに穂波の様子が分かる。
…あー、かわいい。
「…そっか、すごいね。今、ハジメくんは?」
『泊まって行ったらって言ったんだけど、宿に帰るって聞かなくてさっき送ってきた』
「…笑」
ちょっと頑固な感じの人なのかな。
穂波が、〇〇って聞かなくてって表現した。
「…そっか、また会えそう?」
『うん、明日からうちに泊まったら?って言ってみた。
あと数日の滞在みたいなんだけど、宿代浮くのは大きいんじゃないかと思って。
とりあえず、明日のお昼にビーチサイドのカフェで会うことになったよ。
なんかね、今の勢いだと乗っちゃいそうだけど、宿で冷静に考えたいんだって』
「…へぇ」
そんな、感じだ。
でも、旅のプランとかイメージもあるもんね、きっと。
そういうの大事。