第8章 かまどベーカリー
すると、俺の隣の席で食べていた不死川が俺たちを見ながらふと呟く。
「お前らマジで仲直りしたんだなァ」
「うむ!安心したぞ!」
カツカレーを頬張りながら、煉獄もそれに便乗した。
食べながらとは、相変わらず器用だ。
「よかったな冨岡ァ。伊黒と仲良くしてもらえて」
不死川があまりにもしみじみと言うので、まるで父親のようだと思ってしまったが、口に出したらブン殴られそうなのでやめておこうと思う。
「ところで冨岡、一応聞くが。今日迎えに行くパン屋の場所はちゃんと柚葉に聞いているのだろうな?」
「……」
勿論だ。
盛大に頷くはずだった。
しかし、俺はここでふと思い出す。
そう言えば、…聞いたか?
……
……聞いていなかった。
固まる俺を見て、伊黒が盛大なため息を吐く。
「全く、貴様何処へ迎えに行くつもりだったんだ」
貴様は昔からそういう所が抜けているんだ!と伊黒にネチネチ小言を浴びせられながら、スマホを取り出し柚葉にメッセージを送る。
気付いてくれるだろうか。
最悪帰る頃でも良しと思いながら、再びご飯を口へと運んだところで…
「かまどベーカリーだ」
呆れたように、伊黒から今日の柚葉の居場所を告げられた。
「なんだよ伊黒ォ、お前知ってたんじゃねェかァ」
「冨岡を試しただけだ」
試さないで欲しい。
と同時に、柚葉からもメールの返信が来る。
“かまどベーカリーです!“
なるほど、あのパン屋か。
キメツ学園から程よい距離にある、昔馴染みのパン屋だ。
俺も時々お世話になっている。
という事は、柚葉はそのパン屋の子と同級生になったのだな。
そして俺は、そのパン屋の子を、よく知っている。