第8章 魂の雪蛍
海を堪能した後街に行くと、小さな商店街を中心に屋台が立ち並び、こんな長閑な田舎町の何処から人が来たのかと思うほど、人がごった返していた。
相変わらずな暑さと、お昼前ということで食べ物の出店はどこも長蛇の列をつくっており、威勢のいい売り子たちの声と行きかう客の楽しそうな声が響いていた。
男4人の後ろで女4人が並ぶように固まって人込みをかき分けて進んでいく。
「みんな!あそこのやきそば屋さんでお昼にしましょ?かき氷も食べたい!」
明子が、桜華の手を引っ張りながらぐんぐん先へ行く。
「ちょっと明子さん?!」
「明子、俺たちちょっと見るところあるから、先にみんなで食っててくれ。すぐ近くだから。」
そう言い残し悟は狛治の手を引いて人込みの奥へと消えていった。
あまりにも一瞬の事で、止める言葉が出てこず不安そうに、姿が消えた方向を見る桜華に
「大丈夫ですよ!悟兄さんも、事情わかってらっしゃるから、すぐそこくらいしか行かないわ。」
と美紀が微笑んで見せた。
行列に並んで、焼きそばと串焼きを買い、残った6人で食べながら街や祭りの事、それぞれの友人関係の話で盛り上がる。
各々間食が近くなると、早紀と巧郎と充がかき氷を買いに行き美紀と明子が桜華と共に残った。
「桜華様、夕方5時頃から精霊流しの準備が始まって、6時ごろは綺麗な行燈が川を流れてね、暗くなる8時頃から花火が上がるんです。
この時間からお客さんが多いのはそれが目当てなんですよ!!
悟兄さんが狛治さんに良いところ教えてるはずだから、楽しんできてくださいね!!」
と楽しそうに明子が言う。
桜華は表面上取り繕って「楽しみにしています」というが、内心ざわついた。
人間の頃の記憶を取り戻したらどうなるんだろうという
一抹の不安がまた過った。
(信じると決めたからには信じなきゃ.....。)
自分にそう言い聞かせた。