第44章 決戦のアッチェーソ【呪術廻戦0】
「これ……一級……?」
詞織が身構え、ゴクリと息を呑む。
「詞織、逃げろ」
「え……何 言って……」
「いいから逃げろ。そんで、誰か呼んで来い。七海さんとか、日下部さんとか……誰でもいい」
二級に上がったばかりの自分と、二級審査中の詞織。自分たちではとても歯が立たない。せめて、詞織だけでも逃がして……。
「イヤ」
「はぁ⁉︎ ワガママ言うな! 誰かが助けを呼びに行かねぇと……」
「それでも、絶対にイヤ‼︎ メグを残して逃げるなんてできな……」
「詞織‼︎」
言い合いをする伏黒たちを呪霊の大きな手のひらが襲う。伏黒は詞織を力任せに突き飛ばすも、大きな手のひらが伏黒を掴み上げた。
「グッ……くそ……っ」
下では詞織が今にも泣きそうな顔で見上げている。
そんな顔をさせたかったわけではないのに、自分のためにあんな悲痛な表情をしているのかと思うと、心のどこかで喜んでいる自分もいて……あぁ、自分はなんて歪んでいるんだと自己嫌悪を感じる。
詞織の隣では、呪霊に向かって【玉犬】たちが身を低くして唸っていた。腕はどうにか動かせそうだ。伏黒は黒い【玉犬】を戻し、手のひらで顔を形作る。
「――【大蛇(オロチ)】」
ズルンッと影から飛び出した【大蛇】が唸り、呪霊の首に食らいついた。反射的に手のひらが開き、伏黒は受け身をとって地上に着地する。