第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】
「パフェ、おいしかったね!」
――準一級呪術師 灰原 雄
「ほんと。今度は星也とも来たいなぁ。もちろん、詞織や恵に、津美紀と、も……」
病室で眠っている幼なじみ……いや、星良にとっては妹も同然だ。
同時に一睡もせずに解呪を試す弟の姿を思い出した。
星良も試してみたし、家入にも診てもらったが、何も分からなかった。
けれど、だからといって諦めるつもりはない。
この先 どれだけの時間がかかろうと……。
「あれは……」
不意に七海が足を止める。視線を追うと、黒いドーム状の覆いが見えた。
「あれって、【帳】? 誰か任務中なのかな?」
灰原の言う通りだろう。
あの辺りは確か商店街があったところだ。今はほぼシャッター街と化していたか。近々 解体してショッピングモールにする計画が進んでいる。
「あたし、行ってきます。怪我してる人がいたら助けたいし……」
「あの辺りは発生するとしても低級……難しい任務ではないはずですが」
確かに、七海の言う通りだ。【帳】が下ろされているのだから、すでに一般人の避難は済んでいるだろう。任務が難しいものではないというのも同意見。
けれど……。
「……胸騒ぎがするんです。なにか、よくないことが起きそうな……」
気のせいならいい。けれど、この胸騒ぎを無視して後悔はしたくない。
やがて、七海が「分かりました」と頷いた。
「私もつき合いましょう」
「え?」
「なら、僕もー! 食後の腹ごなしもしたいし」
「戦闘があるとは限りませんよ」
七海の指摘に「いーじゃん、いーじゃん」と灰原が笑う。
「ありがとうございます」
星良は七海と灰原を連れて商店街へ向かう。そのとき、不意に視線を感じて足を止めた。