第43章 それはとんでもないトロイメライ【呪術廻戦0】
「七海さん、好きです」
「知っています」
そうだ。七海は自分の好意を知っている。こちらも隠してはいないのだから。
「……七海さんは……あたしのこと、どう思ってますか……?」
初めて会った日から……もう、とっくに十年経っちゃいましたよ。
ずっと聞きたかったこと。なぜこのタイミングだったのか、自分でも分からない。ただ、自然と口をついて出ていた。
「あたしはまだ七海さんにとって、初めて会ったときと変わらない子どもままですか?」
七海が目を逸らし、黙り込む。
困らせてしまっただろうか。
沈黙が辛い。そろそろ、冗談だと笑ってみせないと……。
そんなことを考えていると、彼は深く息を吐き出し、星良と向き合った。七海の伸ばされた指先が前髪を掠める。
「初めて会ったときの私はまだ子どもで、あなたをあしらうために『十年』と適当に言いました」
十年という時間に深い意味がないことは、星良も分かっていた。子どもの憧れ。それは時間経過と共に別の感情にとって変わる。
自重気味な笑みを見せる星良に、「ですが」と七海は続けた。
「今はそれなりに本気ですよ」
「え……?」
何を言われたか分からず聞き返すと、彼は真剣な表情でこちらを見下ろしている。
「ほん、き、って……?」
「そのままの意味です」
バクバクと、自分のものではないように心臓が跳ねた。
「七海さん……」
泣きそうな顔で見上げると、七海は深く息を吐く。
「連絡、あまりできなくてすみません。あなたからのメッセージを見ていると、会いたくなってしまうので」
自分は何を言われているのだろうか。
突然すぎて、頭の理解が追いつかない。
「あなたはまだ未成年なので、大人として手を出すわけにはいかないでしょう?」
「じゃあ、来年は……?」
来年の誕生日に、星良は二十歳を迎える。正式に大人と認められる年齢だ。