第9章 グラン・ギニョールの演目【呪胎戴天】
『……てやる……』
ふつふつと怒りが込み上げてくる。
どす黒い感情は、詩音にとって馴染みのあるものだ。
『呪ってやる。呪ってやる。呪ってやる……』
恐ろしい。憎い。
痛い。辛い。
悲しい。悔しい。
苦しい。許せない!
詞織を傷つけたコイツが許せない。
詞織を殺そうとしたコイツが憎い。
あたしにとっての、唯一無二に手を出そうとした……到底、許せることじゃない‼︎
『【臨】……』
独鈷(どっこ)印を結ぶ。
勝てる自信なんていらない。
倒せる力なんていらない。
必要なのは、この世界と、目の前の呪霊への憎悪。
『……【兵・闘・者・皆・陣・列・在・前】!』
大金剛輪、外獅子(げしし)、内獅子(ないじし)、外縛(げばく)、内縛(ないばく)、智拳(ちけん)、日輪、隠形(おんぎょう)と契印(けいいん)を手早く結んでいく。
心の奥底から、冷静に、生まれ続ける呪いを汲み上げた。
『【破】!』
刀印を結び、詩音は呪霊へ叩きつけるように飛ばす。
消えろ!
祈るように、紅い瞳が呪霊を睨みつけた。
だが――……。
除災除去の効果を持った呪力の塊を、呪霊は片手で受け止める。握り潰すようにして霧散させる様に、詩音は愕然とする。
次いで放たれた呪力の塊。
硬直する身体が正面から受け止め、少女は悲鳴を上げて吹き飛ばされることしかできなかった。