第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
さっきの態度を皮肉るような台詞。
「あー、俺のシルシ、ついちゃった。
誰にも会えねぇなぁ?まぁこれくらいなら、
明後日には消えてるか…」
意地悪く言うくせに、
瞳は慈愛に満ちていて
そのギャップに眩暈がする。
つまりは、わざと鬱血痕をつけて
私をここから出すまいとしているのね。
そうか…後宮じゃないから…
余計に出られないんだ…
私が後宮に戻るのを嫌がったのが
思わぬ方向で
この人にとって都合のいい結果へと
繋がったというわけだ。
「んッ…天元…ソレや…っ」
「んー…お前の真っ白な肌に、
真っ赤な花が咲いたみてぇだな…
綺麗だ」
うっとりと言われて、私はつい彼に見入った。
それに気づいて、目だけで見上げられると
「…睦…可愛い…」
とろけるような一言を発する。
言われた途端、どきりと大きく心臓が跳ねた。
そんな、私…どんな顔をしていたんだろう。
いやいや、そんなことよりも
『可愛い』なんて言葉、
なんて事なかったはずなのに…。
今までピンと来なかった言葉。
それが今になってこんなに…
「や…言わないで…」
真っ赤に染まったであろうほっぺたを
両手で隠しながらそっぽを向くと
その反応が気に入ったのか
「…どうした睦?
真っ赤だぞ…こっち向け……」
嬉しそうに私を覗き込み
唐突に言葉を途切らせたかと思うと
「そうかわかった」
ひとり納得したように呟いて
「可愛い…」
まるで私を試すかのような幻惑のひと言。
ぎゅっとキツく目を閉じて
胸の高鳴りを堪える私を弄ぶように
「やべぇ…マジで可愛い」
そんな事を言われて、
「やめて意地悪!」
もう自分ではどうにもできなかった。
「意地悪じゃねぇだろ…
俺のひと言でそんなになられたら…
可愛い以外のなんなんだよ」
「…知らないよぉ…もう心臓もたないから…」
お願いだからソレを言わないで。
全力疾走でもしたように
どっくどく言っている心臓を、
抑える術もわからない。
「お前のそういうのが
俺を喜ばせるってわかってんのか?
心臓うるせぇの、お前だけだと思うなよ」
「…え?」
つい目線を戻すと、
目が合った途端に、
照れたように逸らされて
私は初めて
この人の気持ちを知った気がした。
私と同じように
どきどきしたり、ときめいたりするってこと?
