第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
咄嗟に手を伸ばし皿を支え
「自分の状況ちゃんと覚えとけって」
睦が作った握り飯を守った。
あ、と目を見張った睦は
「ありがとうございます」
ふにゃっと笑ってみせる。
なにその顔。
やめてくれねぇかな。
可愛いな、くそぅ。
誰かと食べるごはんって
こんなに美味しかったかと
私は感動していた。
こんな時間、もう忘れていた。
恋柱様が、一緒にごはんでもどうかと
誘って下さった事もあったけれど、
お友達のような関係になるのが
なんだか申し訳なくて
何かと理由をつけて断っていた。
断る方が失礼なのはわかっている。
だけど2人きりでごはんなんて
緊張しすぎて食べられるわけがない。
だって恋柱様は、私の憧れなのだ。
それに比べてこの人の
なんて和む事だろう。
私はこの人に恋してるんじゃ
なかったのかな。
それともこの人が言う通り、
私の勘違いなんだろうか。
もっとどきどきするものだと思っていたのに
和むっていうのはどういう事だろう。
いろんな形があるのかな。
「うまいか?」
テーブルに頬杖をついて
何故か嬉しそうに私に問うその人。
醤油の焼きおにぎりに姿を変えたそれを
私は口いっぱいに頬張っていた。
お行儀の悪い事この上ない。
でも、それを見ている音柱様は
特に注意するでもなければ
顔を顰(しか)めるでもなく
穏やかな表情で眺めていた。
寛大な人なのかな。
最初の印象とはまるで違う。
今は、ひどく心の広い人のように見えた。
「すごくおいしいです。焼き加減が絶妙で。
こんなにおいしいの生まれて初めて食べました」
「くくく…そりゃ嬉しいが
ちっと言い過ぎてやしねぇか」
「そんな事ありませんよ。
ほんとにおいしいんですから!
音柱様、召し上がりましたか?」
「んー?俺はお前が食い終わってから
残ったの食う」
音柱様はにこにことそんな事を言うけれど。
大きなお皿の上には
味噌と醤油にきっちりとわかれた
焼きおにぎりたちが山となっているのだ。