第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
火事場の…ってヤツか。
俺に悪夢を重ねてるってワケだ。
それならと
睦の両手を束ねて掴み上げ
傷が痛まないよう気をつけながら、
頭の上で両手首を重ね
体重をかけて押さえつけた。
顎に指を添えて固定させ
その手に持った小瓶を唇に充てがい
傾けようとした瞬間、
ガラ空きだった俺の脇腹に
どすっ
と、睦の膝が思い切り入った…
……
そんなモンなぁ
ちっとも効きゃしねぇけども
俺ぁお前助けようとしてんのよ
知ったこっちゃねぇんだろうけどな
だけどやっぱこっちとしたら
そんな仕打ちあるかって
思っちまうワケで…
戦い方を知っている睦の蹴りは
後からジワジワくるものがある。
器用に暴れ回る両脚は
片膝でどうにか抑え込んだが
自由がきかなくなればなるほど
睦は逃れようと躍起になって
…
それはまるで
構わず見殺しにしろと
言われているように見えてしまい、
きっと違うのだろうけれど……
俺の勝手な思い込みなんだろうけれど
どうしてもそんなふうに見えてしまって
この気持ちのやり場を失くした俺は
無理やり押し付けたくて
強く焼き付けたくて
口内に薬を含み
そのまま睦に口付けていた。
助けたかったのに、失わせた。
あの時の失敗がどうしても心残りだった。
他にも数え切れないほど取りこぼしたというのに
どうしてもあの初任務の時の事が
頭から離れなかったんだ。
いつまでも考えていたって仕方ない。
鬼は待っちゃくれねぇ、
次々と湧いて出る。
頭を切り替えて
数をこなして行かなけりゃならねぇのに
ふと立ち止まった時に浮かぶのは
いつもこいつの事だった。
自分を捨ててしまえたらって
何度も思ったよ。
でもそんな事が出来ねぇから俺なワケで…
あぁそうか…
お前も同じ事を思ったのか
そうしてお前は
今までの自分を捨ててしまったんだな
男になり切る事で、
弱い自分を断ち切った…
それならば、
男のフリをしていたのにも頷ける。