第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.
そんな台詞、お手のものでしょう?
いつも女の子たちに
平気で言ってるんじゃないの…
「…そ、ですか。
私…の事そんなに、キラいって事、かな…」
焦った私は、
思ってもいない事を口走る。
彼の表情を見ていたら
そうじゃない事くらい一目瞭然だというのに。
「ちが!う、だろ……そっちじゃねぇよ…」
「そっち、って…?」
あぁああ、何を言わせようとしてるんだ私は。
ダメだってば…!
「だから…っ」
「いいの!…あの、プリン、食べて…」
って言っても、
本人が買って来てくれたヤツだけど。
だけどそうでも言わなきゃ
間がもたない気がして…
そしてそれは、
向こうも同じだったようで、
「あー…あぁ…」
それはそれは拙い動きで
プリンを掴んだ。
私の言った通りにする必要なんかないのに
そうしてしまう彼が
なんだか可愛くて、
…
いやこんなおっきな人
可愛いとかまったくおかしな話なんだけど
どうしたことか
この人のする一挙一動が何とも可愛く見えてしまうのは、どう考えても私がヘンテコになってしまった証拠というか…
……故に、じっと凝視めてしまって。
すると、それに気がついて
こちらに目を向けようとした彼が
私と目が合う寸前で硬直して、……
そうなると、私のこの天邪鬼が発動して
目が合うまで凝視めてやろうとか
頭のどこかで考えてしまい…
あまりにもしつこく私が凝視めるものだから
彼もそろそろ観念したのか
そろりと、その目がこちらに動いたところで
私はパッとそこから、顔ごと逸らしたり…
…何を、やってんだ、私らは。
へたくそな追いかけっこみたいな行為を
ひどく心地悪く、
なのにどこか楽しんでいるような私は
今まで見つけた事のない自分を
とても不思議に思っていた。
緊張されると緊張する。
涼しいはずのリビングが
外よりも熱が籠っているみたいに思えて、
私は冷たいグラスを両手で掴んだ。
そのグラスも溶けて、
この指の形に凹んでしまいそう。
気持ちを落ち着かせようとしていた時、
「睦」
急に名前を呼ばれ
ビクッと全身を竦ませた。