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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





そして、初めて入った教室で、
私は彼に出逢った。

まだ中学生の香りの抜けない、
どこかあどけない子たちの中、
ひとり大人びていて
しかもやけに目力の強い男の子。

俺に近づいたら嚙み付くぞって
言ってるようなその目は、
何故だろう、とても優しく見えたんだ。

しかも私の席は、
その男の子のひとつ前。

何だかとっても嬉しかった。

他の子はみんな
その男の子を遠巻きに見ていたけれど

「はじめまして、お名前は?」

私は平気で話しかけてみた。

「……」

しばらくジッと凝視められ、……
いや、睨まれ?

「不死川だ…」

低ぅい声で、短く答えてくれた。

きっとみんなは、
この子の事を怖いって思っているんだろう。
だけど私には
どうしてもそうは見えなかった。

「私は櫻井睦。
不死川くんは、…照れ屋さん?」

「違うわァ!」

怒ったような言い方をされたけど
そんなのもう、
ただの照れ隠しにしか見えなくて

「そっかぁ…。じゃあ
何か忘れ物でもしたの?」

「……何だァ…お前…」

さっきの勢いとは大違い。
呆然とした彼は力無く言った。

私は、あのみんなから責められた時に
ほんの少しだけ、改心したんだ。

相手をよく見るようになった。
その人の気持ちを読み違えないように。

だから、怖く見えたって、
本当にそうとは限らなくて
その人がどんな状態なのかを
ちゃんと見極めなければいられなくなった。

この人は、何か不安そうにしてる。
何か、気になる事があるに違いなかった。

「……」

「今日は大丈夫じゃないかな?
入学式しかないんだし、
忘れ物なんか別に…」

「俺じゃねえ」

「あ、違うの」

それならそれでよかった。
と、思った所へ、

「…俺の弟が…」

ぽつりと不死川くんが話し始める。

「ちゃんと上靴持ってったか…
確認すんの忘れた……」

彼はそう言って、大仰に頭を抱えたのだ。

弟…
上靴……

「…弟くん、いくつ?」

「今日から5年生」

「……」

大きい…。

上靴の心配するくらいだ。
もっと小さな弟だと思っていたのに。



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