第41章 輪廻 〜if〜 後
先生もそれを楽しそうに受け入れてくれるから
これで大丈夫って思えるの。
ちゃんと前進してるでしょ?
先生には、何でも言えるようになるんだ。
「睦ー、」
美術室の方から先生が話しかける。
「なぁに!」
こっちからも返事をした。
すると先生は
ひょこっと顔だけ覗かせて、
「もう次始まるから、また後でな。
1回ここに集まって準備してから外出るから。
裏庭の方で植物とか景色描かせるつもりだから
窓から見えると思うぞ」
裏庭はこの美術室がある方角。
確かに窓を見下ろせば一望できる。
「うん。ずっと見てる」
「ずっと?」
「ずーっと」
先生は優しく目を細め、
「俺も気にするようにしとくから」
目と同じくらい優しい声で言った。
「先生は授業ちゃんとしてて」
「授業ったって写生だぞ?
俺別にやる事ねぇし」
「いいからちゃんと授業して。
先生が先生してるとこ見られるの
もう今しかないんだから」
「なんだそりゃ」
はははと笑うけど…
本当にそうだと思わない?
「先生かっこいいから」
「…カッコイイ?」
先生はぽかんと口を開けた。
…そんなに驚く事かな?
「うん。先生やってる時の声がいい。
私に話してるのとはちょっと違って。
よそ行きの声、かっこいいんだ。
あんまり聴けないから貴重だし」
「睦…」
「次の授業は、声は聴こえないから顔見てる。
先生してる時の真面目な顔見たい。
だからちゃんと授業してきて」
「…お前さぁ、」
先生は片手で目元を覆って
小さく首を横に振った。
目を覚ます時みたいな仕種…。
「なんてこと言ってくれてんの?
理性吹っ飛ぶだろうが…眩暈するわぁ」
やば。
今の、私の勝ちじゃない?
いつもドキドキさせられっぱなしの
私の発言が、
図らずも逆襲となって見事にヒットしたらしく
舞い上がらんばかりに心が躍る。
と、思ったのに。
「覚えてろよ。後で甘やかしの刑だからな」
そんな捨て台詞と共に
先生は姿を消した…
甘やかしの刑ってなんだよ。
先生に甘やかされるの苦手だよ!
心臓が耐えられなくなるから。