第52章 審神者代理
「準備はいいかしら?」
丁度、片付けが終わったところで、長谷部を連れた七海がワンボックスタイプのタクシーで迎えに来た。
「大丈夫です。元々荷物もほぼ無かったので。」
「あなた、一体何処に滞在していたの…?」
「事務所に寝泊まりさせてもらっていました。」
レンはそう言って、真新しい寝袋を見せる。
「便利ですね、この携帯布団。」
「…入浴はどうしてたの…?」
七海が恐々聞くと、
「近くの銭湯です。」
と答えが返ってきて、ほっと胸を撫で下ろした。
「今から何処いくの?」
「今から五稜郭へ向かう。そこにある転移装置からお前達の本丸へ帰る。」
大和守が聞くと、七海の代わりに長谷部が答えた。
「なら、私だけ別ルートで帰った方がいいですね。」
「いいえ。あなたも一緒に五稜郭から帰るのよ。」
レンの中に薄ら、警戒心がもたげる。
「…私は政府における自分の立場を理解しているつもりですが。」
「あら、気にすることはないわ。私があなたの後見になるのだから。」
レンは静かに言い募るも、七海は意に介さない。
後見になるからなんだと言うのだ、とレンは訝しむ。
「あなた、随分と疑い深い人なのね。大丈夫よ。万が一、私が使えなくても、私の後ろには空斗さんがいるんですから。」
何が楽しいのか、七海はころころと笑う。
何だかわからないが、面倒な事態になったことだけは理解できた。
レンは、七海の横でげんなりとしながら彼女を見た。