第84章 新たな拠点、新撰組
「…お試しで使ってみればいいのでは?」
現代では、就職にはトライアル期間なるものがあり、会社も社員もその仕事を試せるようになっている。
「つってもな〜…。」
土方も振り分けたいのは山々ではある。
だが、周知されないからこその秘匿であり、情報が漏れてからでは遅い、という考えはそう簡単には拭えない。
「一度手を止めてでも取捨選択はすべきだと思います。効率が上がれば、止まった時間なんてすぐに取り戻せますから。」
「よく言った!!」
バンっと勢いよく開いた障子から、永倉が姿を現した。
その隣には、困った様に笑う堀川と、後ろには同じ様に笑う原田もついていた。
「土方さんだって手伝いがほしいだろ〜?だからつけてみりゃあいいじゃねえか。丁度、こいつもやりてえって言うんだしよ。」
どたどたと詰め寄る永倉に、土方は冷めた視線を送る。
「…お前らが手伝ってくれりゃあ済む話なんだがな。」
永倉の後に原田の方も見やると、二人は揃って言葉に詰まった。
「うぐ…。い、いやあ…、俺は、ほら、隊の稽古とかあるしよ。な、佐野。」
「まあ、な…。見廻も兼ねてるし、細けえ事は、な…。」
「はあぁぁ…。お前らがそんなんだから俺が抱えるしかねえんだろうが。」
そんな二人を見て、土方はがりがりと頭を掻く。
「あの。僕、雑用でも何でもやります。土方さんの力になりたいです。だから手助けさせてほしいです。」
「私からもお願いします。」
隣りへ来て、真剣な眼差しで頭を下げた堀川を見て、レンも同じ様に頭を下げた。
「…何でそこまでして俺につけたがる?」
普段、頭を下げる事をしなさそうな彼女のお願いに、土方は訝しげに見る。
「本人の希望なので。叶えてやりたいと思うのは家族としては自然なのかと。」
あくまで淡々と言う様子に、土方は含むものが読み取れず、苦い顔をした。
「…ちっ。いいだろう。だが、使いものにならなかったら摘み出すからな。」
「はい!がんばります!」
後ろでは、よっしゃ、と小さな声で喜ぶ二人。