第84章 新たな拠点、新撰組
伊藤の足音が小さくなったのを確認してから、レンは土方達を見回した。
「まずはあなた方の事情を話してください。あの人との関係性や監視も含めて、全部です。」
三人はそれを聞いて互いの顔を見合わせた後、深いため息をついた。
「場所を移すぞ。」
土方の言葉に皆は頷いて立ち上がり、部屋を後にする。
おそらく、先ほどレン達が当てがわれた部屋の近く、屋敷全体から見ると西側の内部に近い場所の一室に四人は入っていく。
レンは襖を閉めようとした時に、後ろからついてきている気配に気がつき、動きを止める。
「…放っておけ。」
土方の言葉に、レンは怪訝な顔を向ける。
「追い払おうにも、立場の弱い俺達じゃあ力が無えんだよ。」
この言葉にレンは眉を顰めながら、渋々と襖を閉めた。
だが、このまま聞き耳立てられているのは気分が悪い。
―さて、どうしようか。
レンは逡巡する。
奴らの目的は土方達に向いているのか、或いは自分に向いているのか。
確かめる為には影分身が有効ではあるが…。
彼女はどうしたのか、とこちらを見ている彼らを見回す。そこには彼女を侮辱する様な色は見られない。これは当然の様でそうではない。
先ほどの伊藤がいい例だ。
この時代、女性の立場は全てにおいて不条理である。