第9章 ※チームメイト
「いいんだ、シルバー」
と言って、Nさんは草むらに腰を下ろした。
「おいで」
やわらかく微笑みながら、私に隣に座るよう促す。
「キミにはちゃんと話しておきたい。少し長くなるけど、いいかな?」
「はいっ」
間近にあるきれいな横顔にドキドキしながら、Nさんの隣に座った。
晴れ渡る空を眺めると、風が優しく頬を撫でる。フカフカな芝生がひんやりとして心地いい。
Nさんは長い髪を風になびかせながら語り始めた。
「小さい頃からずっと、ボクはたくさんのトモダチと過ごしてきた。だから、幼いボクの記憶のほとんどはトモダチなんだ」
「“友達”ってポケモンですよね?子供の頃からポケモンに囲まれてたんですね。親がブリーダーとか育て屋さんだったとかですか?」
Nさんはどこか寂しそうに笑い、首を横に振った。
「ボクは幼少期、森に置き去りにされた。深い深い森の奥に…」
「置き…去り…?」
「ひとりぼっちだったボクを育ててくれたのは、森にいた優しいポケモンたちだった」
驚きのあまり声を失う。それはシルバーくんも同じだったようで、どちらともなくふたりして顔を見合わせた。
「森での暮らしに慣れてきた頃、ボクは、プラズマ団のゲーチスによって保護された。それからは世界から隔離された檻のような城で過ごし、人間に虐げられたたくさんのトモダチの声を聞いた。その中には、声すら聞こえないほど傷つけられた子もいた。だからボクは、ポケモンを人々から解放しなければいけないという思想にずっと囚われていたんだ」
Nさんは感情を露わにし、興奮するようにまくしたてて早口で続ける。
「あの頃のボクは、それがこの世界に、ポケモンにとって必要なんだと信じていた!だからボクはプラズマ団の王として、人々にポケモンの解放を呼びかけた。灰色の世界が許せず、ポケモンと人間を黒と白で分断する、それこそがボクの夢だった!」
Nさんの口から再び「プラズマ団の王」という言葉が紡がれる。
やっぱり、あれは聞き間違いじゃなかったんだ。