第100章 お前、龍のこと好き過ぎだろ
適当に時間を置いて場に戻ると、誰も私が責務を放棄したことについて言及して来なかった。ほっと胸を投げ下ろし着座すると、大和がすぐに口を開く。
「よし!んじゃ全員揃ったってことで、いよいよ始めますか!」
「始めるって何を?大和さん、いっぱいやりたい事あっていいな」
「そうそう。俺ってほら、アグレッシブな男でしょ?」
「おっさんとアグレッシブって、蟹とたくあんぐらい距離あるような…」
「あっははは〜!やまとさぁん、たくあーーん」
「こらこらソウゴくん。なんで俺がたくあんって決め付けてるかな。もしかすっと蟹の方が俺かもしれないだろ?」
「いやいや。あんたなら立派なたくあん目指せるよ。オレが保証する」
「漬物になれるって保証されてもなあ…」
アイナナ大人組は、揃って真っ赤な顔で漫才を披露してくれる。見事なガヤ要員っぷりである。
「それで?大和くんが次にやりたいことって?」
「十さん、軌道修正ありがとうございます。じゃあ気を取り直して…
はい!王様ゲームを始めまーす」
「って!結局やんのかよ!ほんとあんたブレねぇよな!!」
せっかく道具が揃ってるんだもーん と、大和は割り箸を手に持った。
口では何だかんだと言いながら、皆んな楽しそうである。大和を筆頭に次々割り箸を引いていく。私は全員が引き終わってから、最後の1本を取った。
割り箸の先を確認してみると、赤くはない。記された番号は4である。
私がそれを確認したのとほぼ同時に、大和がガッツポーズと共に歓喜の声を上げる。
「よっしゃぁ!王様1番乗り!じゃあ王様の命令、行っちゃいますよー?」
こんなにテンションの高い姿は初めだなぁと大和を見つめていると、ガッチリと視線がかち合う。眼鏡の奥の瞳は意外にも眼光鋭く、私の持つ割り箸に注がれていた。