第82章 TRIGGERを独り占めだね
『……誰も、居ませんね』
「あっ!皆んな、あれ見て!」
龍之介が指差した方向へ顔を向ける。そこには、簡素な立て札があった。そして、そこにはこう書かれている。
《 無人島 》
「無人島だな」
「無人島だ!」
「無人島だね」
『なんと丁寧な』
「いやちょっと待って。冷静に考えて、普通、無人島に無人島です。って看板立てる?どう見ても不自然でしょ」
「とにかく、無人島なんだろ。
はぁ…俺達、これから一体どうなっちまうんだろうな」
「……」
『天?大丈夫ですか?ぼーっとして…』
「あ、ううん。平気」
何かを深く考え込むような天に、私は声を掛ける。ショックなのだろう。当たり前だ。
もしかしたら助かるかもしれない。そんな希望が、上陸と共に打ち砕かれたのだから。
「……」
(絵に描いたような遭難。都合よく現れた無人島。それにあの不自然な看板。これって、もしかしなくても…)
天には珍しく、分かりやすく落ち込んでいる。ここは、私が彼を勇気付けなくては。
『はは。天、大丈夫ですよ。私、サバイバル術の本とか読んだ事あるんで。役に立ってみせますから』
「プロデューサー…うん、ありがとう。凄く頼りになります。ボクも、出来る事を一生懸命やってみるよ」きらり
「??」
(なんだ?春人の奴、こんな状況でやけに落ち着いてやがるな。
それに天も、いきなり仕事スイッチがオンに…。はっ!もしかしてこれ…!そういうことか!)
すぐには救助を望めない状況。いつまでここに滞在するか見通しが立たない。と、なると。まず解決すべき課題は…
「とりあえず、飲み水を確保しないと」
『私も龍に賛成です。
人は、食べ物が無くても2.3週間は生きられます。でも水無しでは4.5日で死んでしまう』
「よし。じゃあまずは、何とかして水を手に入れようぜ」
『…なんだか急にやる気に満ちましたね、楽』
「あ、いや…。ほら、生き残る為だからな!」
「そうだね。皆んなで協力して、この困難を乗り越えよう」
(楽も気付いた。それより、カメラはどこだろう…)