第103章 グランドラインへ
__本当にそれだけ?
ふと誰かの声が頭に響いた気がした。
それと共に一瞬あの故郷の海がフラッシュバックする。
日が煌めく水平線。どこまでも続く海が望めるあの丘。
視界が白く染まる。白く。白く。
そこに一片の宵闇が混じる。
__うん。
何も見えない。
けれど、確かに笑っている気がした。
__うん。楽しみにしてる。
「エース」
背後から聞こえた声で視界は目の前の現実を映し出す。
振り返れば水琴が駆けよってくるところだった。
「こんなとこにいたんだ。調達は?」
「もう済んだ。水琴は?」
「食材はトウドウが船まで運んでくれた」
「そっか。じゃあ戻るか」
そのまま水琴の横を通り過ぎ船への道を戻る。
処刑台を振り向くことはもうなかった。
***
「お」
「キール。良いの揃えられた?」
「あぁ。さすがグランドラインへの入口。品が違うな」
道の途中でキールと合流する。満足いく買い物が出来たのか、その表情は晴れやかだ。
そろそろ時間だろうと三人は道を急いだ。船へ戻ればトウドウとデュースが出発の準備を行っているところだった。
「早かったなお前さん方。もっとゆっくりしててもよかったのによ」
「目の前にグランドラインがあるのにのんびりしてられっかよ」
迎えてくれたトウドウににやりと返しエースが船へ飛び乗る。
エースではないが、この町には長居するべきではない。
「会わなくて良かった……」
「誰に?」
「怖い煙の人」
キールの問いに短く返す。まだ配属前なのか、それとも何かの事情で留守にしているのか。スモーカー大佐の影が無かったことに水琴は人知れず安堵した。
いくらなんでも今彼を相手にはしたくない。