第4章 夕虹
「えっ……!」
男の人と恋してた?
知らない……そんなの!
俺が驚いて目を見開くと、兄貴は、そりゃ知らねーよな、と、肩をすくめた。
「潤。俺はな……モテたんだ」
「……だから?」
答えになってない。
俺は、思わず固い声になる。
俺にとっては、兄貴は終始女の子とチャラチャラ遊んでるイメージしかないけど。
喉元まで出かけた言葉を飲み込んでると、兄貴は昔を思い出すように、遠い目になった。
「……よく告白された。男女問わずな。今だからいうが、学生時代少しだけ男とつきあったこともある」
「えっ」
「すぐダメになったけど」
兄貴は自嘲気味に笑った。
「……どうして……?」
思わず聞いた。
「……保守的な俺には、タブーな関係が難しかった」
兄貴は、ぽつりと、答えた。
「…………」
「……とても……とても、長い期間、想いを寄せてもらっていたこともある。それも……結局…応えられなかったが」
ドキリとした。
まるで、自分のことを言われているようで。
「……そう」
俺は、なんだか兄貴を見れなくて、うつむいた。