第18章 そしてWCは伝説となる
征ちゃんの様子を確認した後、涼君の試合を見るべく皆の元に戻ろうと歩いていた。けれど頭の中は征ちゃんで一杯だった。今日は征ちゃんが泊まりに来る。いくら事情が事情でも、征ちゃんが泊まりに来る事になって平気なわけがなかった。だから気付かなかった。角にいる人の気配に。角を曲がったと同時に誰かに口元を抑えられ、どこか分からない場所に引きずり込まれた。
『んー!んー!(ちょ、離しなさい!誰!?)』
?「おーおー、威勢がいいなァ。それに噂以上に可愛いじゃねーか。スタイルもいいし。なァ、俺の女になれよ。アツシなんてやめてよォ」
あっ君を知ってる…それにこのジャージは…どうにか手を離す事に成功したあたしは距離を取り、その人物の顔を見る。コーンロウのような髪型にピアス、目付きは悪いその顔は見た事も無ければ記憶にも無い。逃げる事が最優先だと思い扉に手を掛けるが開かない。
?「あー、逃げようったって無駄だぜ?外から暗証番号で開けるかこの鍵を使うかでしか、その扉は開かねぇよ。その上この部屋は滅多に人は来ねェ。つまり当分は俺とアンタの2人きりだ。楽しもうぜ、鈴城の姫様よォ」
『…あなた誰?見た所、福田総合学園の選手みたいだけど?それに次海常と試合のはずじゃ…』
灰崎「おれは灰崎祥吾だ。元帝光中バスケ部のレギュラーだったんだよ」
その男、灰崎はニヤニヤしながら言う。帝光中でこんな人は見た事が無い。
『嘘言わないで、帝光中の人達とは知り合いなの。その中にあなたは居なかった。あなたなんて知らない』
灰崎「そーだろうなァ。なんせ俺は黄瀬と入れ替わりみてーなモンだからよォ。アンタがあいつらと関わりだしたのは2年からなんだろ?なら知らなくても仕方ねぇよ。それにしても…チッ、思い出しただけでもムカつくぜ。だからよォ、アンタを使って軽い復讐しようと思ったわけだ。なんせアンタはあいつらのお気に入りらしいじゃねーか。そんな子を可愛がられた時のあいつらを想像するだけで…クククッ…ゾクゾクすんなァ」
こいつ、やばい…そう思ったせいか、体が動かなくなってしまった。頭の中で危険信号は出ているのに。唯一動かせる頭と口をフルに使って時間を稼ぐ。いくら何でも選手だ。試合時間になれば出ていくはずだ。