第106章 *熱中ベイキング(トレイの夢)*
光る小鳥が赤と黒のコック帽の上を飛び回る。ツートンの鮮やかな生地色、胸に大きなハートを描いたようなデザインは、まさにハートの女王に仕える料理人のようだった
見たこともない派手なコック服に身を包んだトレイは、猫舌のくせに焼きたてをやんちゃに頬張る幼馴染を注意しながらも、その目は美味しそうに食べる様子を微笑ましく見ていた
チェーニャ『トレイのミートパイは出来たアツアツが一番美味いからにゃあ。最初に食えるのは、寮長の特権だわ』
トレイ『そんなこと言ってると、また舌を火傷するぞ。猫舌なんだから気をつけろよ』
ケイト『あれは..トレイくんと、チェーニャン!?』
一方、オルトから聞こえる音声に耳を傾けていたレイラたちにも驚きの衝撃が走る。チェーニャの存在はもちろん、更に驚いたのは彼の放った言葉だった
『猫、さん..?』
ユウ『って、リドル先輩とトレイ先輩の幼馴染の、あの猫の人?』
エース『え?待って、今寮長の特権って言った?まさか、チェーニャさんがハーツラビュルの寮長になってるってこと?』
オルト『彼..うちの学園の生徒じゃないね。ナイトレイブンカレッジのデータベースにヒットしない』
デュース『あの人はロイヤルソードアカデミーの生徒だ。クローバー先輩の幼馴染で、同じ3年生だったはず。本名は確か..アル、ナントカビチビチ..みたいな長い名前の..』
ユウ『ビチビチって..魚かなんか?』
『アル..チェーミだっけ?』
オルト『アルチェーミ・アルチェーミエヴィチ・ピンカー。薔薇の王国出身、だって。ロイヤルソードアカデミーのデータベースでヒットしたよ』
エース『相変わらずすげーね、オルトは。そんでデュースはアルしか合ってねぇし。ウケる』
デュース『本名を聞いたのは1回だけなんだから、しょうがないだろ!』
セベク『舌を噛みそうな名前だな』
オルト『兄さんたちにもこの情報を共有しておこう』
『なんで、猫さんがこの学校で"寮長"をしてるんだろ?トレイさんは、リドルさんになってほしくなかったのかな?』