第94章 *夢幻ナビゲート(ヴィルの夢)*
その相手はちょうど棚の影になっていて見ることはできず、その謎の相手に対してヴィルの表情は更に険しさを増していく
ヴィル『ーーあたしが5分以上外に出る時は、必ず日傘を持ってくるように言ってあるはずよね』
?『ご、ごめんなさい。車の中に忘れてきちゃって』
『(あれ?この声って..)』
ヴィル『信じられない。あんたそれでもあたしのアシスタントなの?まだあるわ。今日の控室、入ってみたらゴミが落ちてた。鏡にも指紋が..どういうつもり?』
?『せ、清掃は頼んでおいたんですけど..』
ヴィル『美しいあたしがメイクするための部屋よ。直接あんたが確認しておくのが常識でしょう?
この役立たず!!』
ユウ『!!(まずい..!)』
アシスタントを𠮟りつける声が一際荒さを増す。その瞬間ユウは嫌な予感がして急いで隣を見ると、その予想は当たっていた
『ぅ...は..ぁ..っ』
”役立たず”
このたった一言にレイラは誰よりも反応してしまい、過去のフラッシュバックでまるで今自分に言われているような感覚に、段々と呼吸が乱れを起こし、体まで震えだした
ユウ『大丈夫だよ。レイラに言ってるんじゃない..落ち着いて、大丈夫だから』
シルバー『レイラ、どうした!?』
グリム『にゃ!?まさか今の言葉でパニック起こしちまったのか?』
『ごめんな..さい。ごめんなさい..っ..ゃ..怒らないで..いいこに..いいこにするから..』
ルーク『ユウくん。すぐに彼女を連れて下がるんだ。これ以上聞くと、更に酷いパニックを起こすかもしれない』
ユウ『はい』
助言に従いレイラをサッと横抱きにしてスタジオから10mほど距離を取ると、近くの植木に腰掛け膝の上にそのまま下ろし優しく抱きしめた
ユウ『大丈夫..誰も怒ってない。レイラに怒ってないよ。いい子、いい子..怖がらなくていいんだよ』
『はぁ..はぁ..ぅ、ぁ..っ』
収まりを見せてきたことに安堵しつつも、レイラの聴力ではここまで離れてももしかしたら聞こえてしまうかもしれない、と危惧し、顔を自分の胸に押し当て頭を抱え込むようにする
少しでも、恐らくまだ向こうでアシスタントを叱りつけるヴィルの怒声が届かないように