第81章 *閑話カームデイ10 〜ポムフィオーレメイン〜*
『[ちょっと物足りないけど、まあその姿が見れて良かったよ。じゃあ、今度こそいただきまーす]』
項垂れるルークを愉快そうに見つめながら、ブロットを持った手を近づけ口を開ける
ルーク『っ!やめろ..っ!』
普段の彼の口からは絶対に発せられない焦りに満ちた叫びが夜空に響き渡る
『[...]』
ルーク『頼む、やめておくれ..これ以上彼女を穢そうとするのは..っ..』
耐えられない苦悶に染まる表情で必死に懇願する。その瞬間、ノアはゾクゾクととてつもない快感が体中に走る
『[ふふ、あはは..あははははははっ!!!]』
ルークの必死な姿を無慈悲なまでに残酷に嘲笑う。腹を抱え一頻り笑うと、滲み出た涙を拭った
『[それだよそれ!キミのその顔が見たかったんだ!絶望の中で必死に懇願する表情..なんて愚かで可哀想なんだ。そういうの、大好きだよ。
でも、だーめ]』
懇願を踏みにじるようにブロットに口づけると、ブロットの靄がレイラの体に吸い込まれていく
その瞬間、レイラの体の周りを禍々しい瘴気が包み、その瘴気に侵されたかのように空に浮かぶ月がレイラと同じ深紅に煌々と染まっていた
『[ああ、力が全身に染み渡っていく。ほら、分かるだろ?この黒い淀んだ力がウサギちゃんを黒く輝かせる]』
赤い月明かりが照らす夜に、同じくらい妖しく美しく輝く瞳で笑みを浮かべる
ルーク『なんて、ことを..』
『[止められなくて残念だったねぇ。これでこの子が心に闇を、絶望を溜め込んで溜め込んで、完全に染まりきったその時
素敵な化け物の完成だ]』
ルーク『!!君は、一体彼女を使って何をしようとしてるんだ』
『[..さて、ボクはそろそろ眠るとするよ。この子のことは、送るなり放置するなり自分の部屋に連れ込んで襲うなり好きにしなよ。ああ、放置のほうがいいかもね。ブロットの塊を取り込んだやつなんて、触りたくも関わりたくもないだろう?
あと、今の事を誰かに言ってもいいけど、この子がどうなっても知らないからね]』
ケラケラと煽るように言い放つと、一度振り返り赤い月を仰ぐ
『[今夜は、良い夜だ。月があんなに美しい..]』