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Amor vincit omnia__愛の勝利

第57章 椿の花(玄奘三蔵)



(三蔵 side)




雪。白い、雪。



頼華の髪色に似たそれを見て、思い出す。

よく泣いている頼華を笑顔にさせようと、雪の日には必ず雪だるまを作っていたあの人を。



あの人は、頼華によく言っていた。


『この綺麗な髪と目を大切にしなさい』と。



禁忌の子であるはずの頼華の髪の色は、俺にとっては雪のように混じり気のない白で。


青い目は、まるですべてを見透かし包み込む大空のようで。




兄妹のように育てられたものの、いつの間にか心に芽生えていた感情。


俺の我儘だと思うが、嫌がらずここまで着いてきてくれた頼華を守りたいと思う。




『江流、頼華をお前が必ず護らねばなりませんよ』




その言葉を、忘れたことは無い。






「…どうしたの玄奘?」

「…何がだ」

「…なんか辛い顔、してる」

「少し思い出してな。でも、もう何でもねぇ」

「…そう?」

「…あぁ。」




自分の懐に抱きしめた頼華を見る。雪のような綺麗な白に、眩い銀色の髪。澄んだ青い目。



頼華の髪に指を入れ、解くように指を絡めればひらりとすり抜けていく髪。





「…綺麗だな、お前の髪」



頭に口付けを落とせば、香ってくる彼女の匂い。





「…ありがとう」

「顔、見せろ」




恥ずかしいのか、下を向く頼華にそう囁けば澄んだ青い目と目が合う。




「…俺だけの、頼華」

「…うん、玄奘の、だよ」

「…好きだ」

「…私も好き」






それを合図とするように目を瞑る頼華に触れるだけの口付けを落とした。











雪が未だに降り注ぐ中、白椿が咲き誇る町で。





椿の花
__極上の愛らしさを



宿の入口外に置かれた小さい雪だるまがふたつ、肩を並べて見守っていた。




end


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たまにはこういう系も。


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