第3章 届かない願い
「つまり、恐怖が薄れると力も薄れる。鬼殺隊員としては、それは困る事ですよね?」
「それじゃあもしかして・・・小乃実ちゃんに恐怖を与えてる・・・?」
「・・・えぇ。実際に見たでしょう?箱の中を。手足の自由を奪われて、透けた木細工越に凄惨な景色を強制的に見せられてしまう。自由が利かないのなら、恐怖は計り知れないでしょうね・・・」
そう言ってしのぶさんはお茶に視線を落とした。
きっとしのぶさんも小乃実ちゃんの事については最初は猛抗議したんだろう。
悲しげな音が微かにしのぶさんから聞こえて来た。
「だけど、このままじゃ小乃実ちゃんが壊れてしまうわ。それに・・・あまり口にも出したくないけれど、彼女は稀血。稀血の者同士で子を作ったのなら、その子も稀血である可能性があるんじゃないか、って話も出ているの」
「な・・・そんな事って・・・!」
「善逸君も知っている通り、先日の那田蜘蛛山の件で多くの隊士が無くなったわ。一二鬼月と戦い、勝利を得るにはこちらも相当の代償が必要なのよ」
那田蜘蛛山。
・・・そうだ。俺は結局・・・殆ど役に立たなかった。
もしあの時もっと俺に意気地があって、強かったなら。
そうしたらこんな残酷な選択肢も生まれなかったんじゃないか・・・
「善逸君、あなたの所為ではないんですよ。そこはちゃんと心に留めて置いて下さい」
見透かすように、強い目で真っ直ぐに俺を見つめるしのぶさん。
きっとこの人も色々な覚悟を背負っているんだろう。
「話を戻しますね。小乃実ちゃんの力は恐怖で増幅される。つまり、その逆もあるんじゃないかって、私は考えてるんです」
「逆・・・?」
「そう。もしも小乃実ちゃんが恐怖を感じなくなったなら、おそらくあの力は弱まるでしょう。そうなったら、鬼殺隊員にとっての利用価値がなくなる」