第25章 王都の舞踏会
「隊列の先頭は私、各分隊長と副官、そしてリヴァイ班。今回の指名といい、ドレスの新調といい、ペトラを見ていたと考えるのが妥当だろう」
エルヴィンがそう言い終えると同時に馬車が止まり、話は一旦途切れざるを得なかった。
「調査兵団ご一行様。遠いところをようこそおいでくださいました」
丁寧な物腰の執事に出迎えられ、吹き抜けのある玄関ホールへ通された。そこから踏みしめると靴ごと沈んでしまいそうなふかふかの絨毯の廊下を案内されて応接間へ。暖炉もある大きな部屋だ。曲線の優雅なフレームが美しい、布張りのソファが二つ配置されている。豪華絢爛な薔薇の絵のファブリックで、同柄のクッションが添えられている。
「殿方はこちらでおかけになってお待ちください。ご婦人方はドレスへのお着替えがございますので、控えの間へどうぞ」
初老の執事は応接間に隣接している扉をひらく。
すると四人ものメイドが、ずらっとならんで待ち構えていた。その中で一番年配と見受けられる女性がすっと前に一歩出た。
「ペトラ様、お連れ様。お待ちしておりました。メイド長のサリーでございます。ディオールからドレスは届いております」
ペトラとマヤはどう返事をすればよいかもわからず、顔を見合わせたのち、サリーに向かって頭を下げた。
「さぁ、どうぞ」
執事にうながされ、控えの間へ入る。
「では、お二方を頼みましたよ」
「かしこまりました」
執事とメイド長は言葉を交わして、扉は静かに閉められた。
その様子を立って眺めていたエルヴィン、リヴァイ、オルオに再度執事は声をかけた。
「ご婦人方のお着替えが終わるまで、どうぞこちらへ」
今度はソファに座った三人を見ると満足そうにうなずき、
「すぐにお飲み物をお持ちします」
と深いお辞儀をして出ていった。