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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


食べ終えてしばらくすると、またシャッターの向こうが騒がしくなる。…パパだ。

それに気付いたアスランは、一瞬私の手に触れた。目が合うと悲しそうに笑った。

ガラガラと音を立て開いた先にはやっぱりパパがいた。


私は駆け寄って、柵を握る。

『パパ!』

「…可愛い子だ。食事はどうだったかね?」

『とても美味しかったよ!』

「それは良かった。何かリクエストがあればなんでも言うといい。特別に作らせよう。」


パパはスッとベッドに座るアスランに目を移した。

「アッシュ、お前の口には合わなかったか?」

「……美味しかったよ」


「フン…そうか。さて、おやすみのキスをしよう、お前もこちらへ来なさい。」


ゆっくりと歩いてきたアスランが私の隣に並ぶ。
するとパパはいきなり柵の中に手を伸ばし、アスランの顎をグッと掴んで唇を重ねた。

「…ッ!…んン」
「………………」


「…っはァ…アッシュ、そんなキスで客は満足しないよ。キスはこうするんだ、よく見ていなさい。」

私の首の後ろに手を回したパパは顔を近づけ、アスランに見せ付けるようにねっとりとしたキスをする。

『…んっ……ぅ、』

私の舌を深く絡めとる。
舌を動かす余裕も与えてもらえないキスにされるがままになってしまう。



その時、ガシャンッという音が響いた。

アスランが拳で檻を殴ったらしい。



「…っ…なんだ?その顔は」

「もう、わかった…から。」



「……ッフ、嫉妬とはお前も可愛いやつだな」


パパは私から手をそっと離した。



「では…お前たちのキスを見て私は戻るとしよう。」

『……え?』

「…なんで」



「アッシュがユウコにどんなキスをするのか興味があるからだよ?」

「……見てたくせに」



どうして、パパは私たちのキスを見るなんて言うの?



「さぁユウコ、」

『…?』



「アッシュにキスをねだりなさい。」

『え……?』



「聞こえなかったのかい?…私はキスをねだれ、と言ったんだよ」


アスランは私から顔を背けていた。
チラッとパパの目を見ると、私を鋭く見下ろしている。

…いけない、



『ッ!……アスラン…』

「……」


『ねえ…アスラン、』

シャツの裾を引っ張る。



『……キ、ス…して』


私は戸惑いながらそう言った。
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