ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
こいつらが話していることを聞いてピンときた。
僕とディノが倉庫を出てからここで何かあったんだ、と。不自然に檻の周りを見て、確認していたのはきっと例のカメラだ。
今となって考えてみれば、帰ってきた時ユウコは様子がおかしかった。僕が最後に見たユウコとは明らかに違っていた。
あの時はユウコのことを思いやる余裕もなくて…やるせなさや悔しさ、怒りに自分でも感情が抑えられず初めてあんなふうに突き放してしまったけど…結局心の中はユウコのことばかりだった。
僕のせいで苦しんでいることには違いないのに、やっぱり気になって仕方ない。はじめてあんな態度を取ってしまったことに対するバツの悪さと罪悪感で押し潰されそうだった。
そんな中、こいつらがユウコに言ったことに耳を疑う。
キス…さっきはあんなに仲良く…
もしかして、僕がいない間ユウコはこいつらにひどいことをされて…?嘘だ…そんなの…。
起き上がり振り返ってユウコを見ると、パパと名前を出され震える足で立ち上がろうとしていた。それを目にした時、こいつらの言うことは全部本当なんだと伝わった。
だめだよ、ユウコ
汚れるのは僕だけで十分じゃないか
気が付くとベッドを降りて柵の前にいた。
できるだけ、こいつらの目を僕に…。
ユウコに触れようとするマービンの目を僕に向けさせた時と同じように
…誘惑、するんだ。