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ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH

第14章 消えない傷


《アスランside》

ユウコがディノにペットだなんて言われてるのは、すごく嫌だった。でもそれ以上に、まるでペットのように振る舞うユウコを見ているのはもっと嫌だった。


僕が“商品”じゃないように、きみは人間だよ。なのにどうしてあんな顔して笑うの、言いなりになんてならないでよ…

ディノがユウコにキスをする直前、あいつの目は僕を見ていた。そしてニヤッと笑ってユウコを呼び、頭を掴んだ。キスをされてもなお、「おいで」の声に反応して僕の腕から抜け出そうとするなんて…そんなの、きみは本物の……。


あんなふうに泣くユウコを見るのは初めてで驚いてしまった。思わず駆け寄って抱き締めようとしたとき、泣きながらアスランと苦しそうに口にしているのを見てユウコを苦しめているのは僕なんだと思った。





…そして僕はキスを拒まれた瞬間に思い出した。



僕は汚いんだった、と。


初めてレイプされた時からユウコと初めてキスをしたあの日まで、毎日ずっとそう思っていた。僕は汚い、こんな汚い僕がユウコと会っていいわけがないって。

でもユウコがあの日『アスランは汚くなんかない』って言ってくれた。

父さんに連れていかれた病院の帰り際、ナースの人に「自分を汚いだなんて思わないでね」と言われたその時は、汚いに決まってる…と悲しくなったのに、ユウコがそう言ってくれた時は救われたような気持ちになった。


…あれが最後だったらこんなこと思わなかったかな。ユウコの言葉を今も信じて笑っていられたかな。


あれから何回?
僕は何回…汚された?

どうしてこんなことを今まで忘れていられたんだろう。





ねえユウコ、


さっきはあんなに顔を背けて、口を手で覆ってまで僕のキスを拒んだくせに…どうして、今さらキスをしてくるの?



唇を離して…

きみまで汚れてしまう。



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