ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
なに、これ……
しょっぱいような苦いような不味くて温かい液体が口の中いっぱいに…
「…飲めよ」
「ほら!早く飲み込めよ!!」
吐き出すことが許されず、かといって飲み込むことも出来ず首を横に振る。
すると、鼻を摘まれる。
『……ぅ゛っ、』
咄嗟に口を開けると、端から少しこぼれてしまった。
「みろよ、口の中いっぱいだ!俺も早くぶちまけてぇ…っ!」
「おい!こぼしやがったな?…早く残りのを飲み込めって言ってんだよ!!」
あまりの剣幕に、私は目をギュッと瞑ってゴクッと飲み込んだ。
『…っ……う゛ぇ……』
喉にまとわりつくような後味に思わず嘔吐く。
涙が零れる。
「飲ませてもらったら、なんて言うんだ?」
「ジャパニーズなんだろ?」
ぐちゃっとした頭の中を必死に辿る
…さっき久しぶりに聞いた日本語のことだろうか。
日本でこの言葉を使っていた時はとても幸せだったのに…どうして今はこんなに苦しいんだろう。
それでも、言わなくては…
私は言葉を絞り出す
『…っ、…ご、ちそ…うさま、でした…』
すると、ゲラゲラと笑い声が聞こえる。
「ハハハ!なるほど、これが“ごっくん”か!こりゃあ良い!クセになりそうだ!」
「言うことが聞けて偉いじゃないか、ユウコ!」
「次は俺のを頼むぜ」
ーー「俺たちに逆らうのは、パパに逆らうのと同じことだとよく覚えておけ。」
そう言われ、そのまま私はされるがままにふたりの出した液体も飲み込んだ。
どんなに苦しいことも痛いことも、アスランは私のためにずっと耐えてきたんだ。だから私も、アスランのために耐えなくては。
私はアスランのために生きるんだ、
大好きなアスランのために…