第2章 桜の前
妖館へ戻り、ラウンジの扉を開ける。
すると突然、クラッカーの破裂音が響いて、中からはリボンや紙吹雪が舞う。
「中也さん、妖館にようこ……あら…?」
「あらあらあら~…お帰り~」
連勝が最後まで言わずにこちらに疑問を投げかければ、久しぶりに会う残夏君…夏目残夏がニマニマと微笑ましそうにこちらに寄ってきた。
「こ、これは…?」
『見てわかんないとかほんっと脳筋、どっからどう見たって貴方の歓迎会でしょうが』
「今脳筋は関係ねぇだろ!!……って、は?俺??」
「そーそー!中也たんの歓迎会!そのためにリアたんには君を連れ出してもらってたわけなのでっす!」
中也たんて…
残夏君の命名に若干引きながら、しかしこちらに向けられる意識に視線を逸らす。
「お前らやけに仲良くなって帰ってきたなぁ…どうしたリアちゃん、懐いちゃった?」
『は、はぁ!!?誰がこんな低身長帽子置き場の脳筋馬鹿なんかに!!!』
「おい」
「わぁ、こりゃかなりだわ。こっちおいで中也さん、噛みつかれるよ」
なんて言いながら腕を連勝に引かれる中也。
えっ、いや、ちょっと待ちなさいよなんでそんな簡単に連れてかれようとしてるのあんたは。
『ちょ、…ち、中也!!なんで連勝なんかの方に…っ』
「は?お前何そんなに焦って…」
『わ、わわわ私のシークレットサービスじゃないのあんたはッ!!?何っ、ご主人様放ったらかしで他の奴に着いてっていいとでも思ってるわけ!?連勝なんかダメよそんな普段からぐうたらしてばっかりのろくでなし!!!』
腕に抱きついてぐぐぐ、と引き止めれば、上からへぇ、そんなに取られたくないんだ?なんて声が降ってくる。
「リアちゃん中也さん大好きになっちゃった?…中也さん何したのこの子に」
『なってない!!!』
「俺は別に何も…おい、どうしたんだよほんとに。そんな引っ張らなくてもどこにもいかねえって」
『!!!…連勝の方行こうとしたくせに』
「してねえよ!!!?」
『嘘!!ちょっとそっち歩いてた!!』
「だあああっ!!!お前の所にいりゃいいんだろ!!!?」
勢いで皆まで言われてしまえば、それに動揺して言い返せなくなる。
『へ、…え、あ……わ、分かればいいのよ分かれば。……やればできるじゃない』
どこまでも上から目線に、納得する。
ふん、脳筋のくせに分かってるじゃない。
