第13章 体育祭
いつものことっちゃいつものことなんだけど、今日は本気で誘拐の心配してそうだな。
ちらりと隣の智に視線を向ける。
確かにめちゃくちゃ可愛いもんな。
心配したくなる気持ちは分かる。
…なんて。
「ねぇ、結局なにを笑ってたの?」
ニノを見送った智が改めて滝沢に聞くと
「翔がさ、ニノを可愛くしすぎで心配だって怒るからさ。じゃあやめようって言ったら、やめないって。間髪入れずに否定するんだよ」
もう邪魔する翔がいないから、あっさり教えてくれた。
「結局、可愛いニノに応援してほしいんだなって。素直にニノが可愛くて嬉しいって言えばいいのにって思ったらおかしくなったんだよ」
翔のやつ、あんなに怒って心配もしてたのに、結局可愛いニノを見ていたいっていう欲が勝ったんだな。
「そっか…ふふっ」
智はおかしそうに笑うと
「今日のニノはチアガールみたいで可愛いもんね」
ニコニコしながらニノを褒める。
「そりゃ翔くんも心配だよね」
他人事みたいに言ってのんきに笑ってるけど。
智もめちゃくちゃ可愛いからな?!
どうせ自覚はないんだろうけどさ!
可愛くしすぎだって怒りたくなる気持ちも、心配する気持ちも。それでもまだ見ていたいって思う気持ちも。
実際に口にするかしないかの違いだけで。
嫌ってほど分かるから、俺は翔を笑えない。
可愛い智を見ていたい。
でもその可愛さは誰にも見せたくない。
ただ俺に…俺だけに見せてほしいと思っちゃうんだよ。