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「大船に」「明日よりは」

第1章 出発前夜


「そんな顔をするなよ」
ため息混じりに言われ、私の唇はさらに曲がってしまう。
「ちょっとばかり宇宙へ行くだけだ」
何がちょっとばかりだ。いつ帰るか、いや、帰って来ると約束も出来ないくせに。
「おい、そう拗ねるな」
大きな右手が伸び、私の頬を親指と人差し指でつまむ。歪んだ顔を見て、阿伏兎は声をたてずに笑った。
そのまま唇を吸われ、頬をつまんでいた指はゆっくり首筋を伝い、胸へと下りてくる。
阿伏兎の手はいつも暖かく、そして乾いている。愛撫によって私の体から溢れたもので濡れても、拭いてしまえばすぐに乾く。
まるで、逢瀬など無かったかのように。
「…はぁ」
思わず吐息が漏れる。阿伏兎はまた静かに笑った。
「機嫌直ったか?」
「…そんなんじゃ」
「不貞腐れたままでも良いから、今は、抱かせてくれよ」
見上げるた阿伏兎の眼は、そこに映る私と同じくらい、悲しく切羽詰まっていた。
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