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【DC】別れても好きな人【降谷(安室)※長編裏夢】

第93章 〝私〟について(その1)



「似合いませんね」
「似合わないな」
「似合いませんよね」

私・先輩・安室さん。
三人で続くその言葉に、ハハっと声をあげて笑ってしまった。

「そういえばお父さん、以前の○○さんって……どんな人だったの?」

蘭さんの素朴な質問に先輩が私を見る。何か記憶のきっかけになればという提案なのだろう。

「多分お前は過去を人に話されたくはないだろうが」
「いいんではないでしょうか。彼女も、彼女自身のことを思い出すのにちょうど」
「安室さんは、私のことを昔から?」
「……いいえ」
「そう、ですか」

なんとなく感じる違和感は、〝れい〟という存在について。
嘘をついている。
でも、多分それは、私に言えないというより――不特定多数には言えない、のではないだろうか。

「……わかりました。毛利先輩が知っている〝私〟について教えてもらえませんか」

安室さんの知っている〝私〟については、依頼の時に話を聞かせてもらえたらいい。

「あー、長い話になるから家でも良いか」
「お父さんお酒飲もうとしてない?」
「ふっ、では僕は何かおつまみ買ってからお邪魔しますね」
「気が利くな、安室君」

私も行ったほうがいいのだろうか、と一瞬迷った私に安室さんが静かに首を横に振った。

「○○の分も買ってきますので安心してください」
「そういう意味じゃ」
「ええ、もちろん冗談ですよ」

冗談なら冗談とわかりやすい反応をして欲しいと思ってしまいながらも、

「……また後で」
「ええ、また後で」

いってらっしゃい、と喉元まで出かけて飲み込む。
きっとそれが普通のやり取りだった。
緊張が少し解れてる今、彼との近かった距離を記憶ではないものが覚えていて実感する。
安室さんが探偵事務所を出て、扉が閉まって――ふううっ、と思わず深い息を吐く。そんな私に三人がかなり驚いた顔をした。……え?

「どうかされました……?」
「ああ、いや、お前が安室君相手に緊張しているのが珍しいからな」
「○○さん、安室さんといる時いっつも好きなんだなあってオーラが出るので……新鮮ですね」
「……え、私ってそんな感じなんですか」
「「ああ(はい)」」

それでいいのか社会人。
記憶を失う前の私に呆れそうになりながら、小学生からは「ははは」と乾いた笑いを受けるので……かなり胸が痛んだ。


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