第1章 1
「私も戻るかなって言ってもこの騒ぎで会場もパニックだろうけど」
つぶやきながら歩き始めると不意に後ろに気配を感じた。振り向こうと立ち止まると急に口を塞がれる。
「んー!!」
ハンカチに薬品でも仕込んでいるのだろう、すぐに気が遠くなり、視界がぼやけてきた。
「んんー!!んー!」
それでも必死に抵抗するがそれも虚しく終わり、意識がなくなる寸前、私が見たのは私にドリンクを進めてきたウエイターだった。
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目が覚めると知らない天井があった。
ここは……ベッドの上?
とても高級そうなベッドの上に私は寝かされている。
「お目覚めかな、お姫様」
聞き覚えのない声に目を向けるとそこにはあのウエイターがいた。けれど雰囲気はウエイターのときとはまるでちがう。
怖いくらい整った顔に綺麗な黒髪。落ち着いた雰囲気と高級スーツ。ただものでないことは男の醸し出す雰囲気が語っている。
「あなたが私を……」
「手荒なまねをしてすまなかったね、女盗賊の……」
「……っ……」
「如月ゆいさん」
「……どうして……」
どうしてこいつがそれを知ってるの
「学校で手紙読んだだろ?」
「……」
「あれは僕からのプレゼント」
私は私を撃った2人組の男を思い出した。
「殺しに来たってわけ?」
「まさか、あれは彼らの独断だよ。ダメだね安っぽい連中は」
「……私をどうしたいの」
「いい質問だね、そうだね……俺は君を」
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非常ベルが鳴り響き大パニックの会場の中、白馬は自身の想い人を探していた。
「ゆいー!」
――どこに行ったんだ……くそっ、俺が目を離さなければ……
後悔しながら必死に探してると、白馬はここにいるはずのない人物を目にした。
――あれは!
その人物は司令室にはいりベルを止める。白馬はあとを追い司令室に入った。
「怪盗キッド!なぜお前がここにいる!」
「おや探偵、血相変えてどーした」
キッドは相変わらず余裕の表情で白馬に問いかける。
「この騒ぎはお前の仕業か?」
「さぁ?どーだろうねぇ」
「お前まさかゆいを……」