第21章 ココロ、重ねて
❁❁❁ 三月 side ❁❁❁
環「あれ?ここにもいねぇ。なぁ、みっきー?マリーどこ行ったか知らねぇ?風呂空いたって伝えて来いって、いおりんがさ」
まだ濡れ髪のままの環がタオルでゴシゴシやりながらリビングへ入って来た。
「愛聖ならさっき・・・」
そこまで言いかけて、今日の仕事が終わって帰ってきてから、そういやどことなく様子がおかしかったんだよな?と思い出す。
夕飯終わってからも、みんなとキャーキャーとしてた割りにはどこか表情が曇ってたから。
「部屋にも居なかったのか?」
環「んー、部屋の中にも居なかったし」
「ってか、居ないのに部屋覗くなよ」
全くしょうがねぇと零しながらもエプロンを外してカウンターへと置いた。
「とりあえずオレが探してくるから、環はドライヤーな!風邪ひいたりしたら壮五を困らせる事になるだろ?早く乾かしてこい?」
そう言いながらベランダにも居ないよな?と外を覗いてみると、そこから見える寮の影の中に、ポツンとひとつ人影が見えて。
あぁ、なるほど、と愛聖の居場所を発見するとリビングのドアをすり抜けた。
「こんなトコに居たのか。環が探してたぞ?」
小さな背中に声を掛けると、その肩はピクっと跳ねて振り返った。
『三月さん・・・』
スン、と鼻をすするようにして顔を上げる愛聖は、誰がどう見たって泣いてただろうと分かる顔で。
「・・・仕事で、なんかあったのか?」
そう声をかけるのが精一杯な自分にガッカリする。
『なんでもないです、ちょっとあくびしたら目から水みたいな物が』
「んなワケねぇだろ。帰って来てからも元気なさげだったし」
バレてるぞ?と言ってやれば、実は・・・と今日あった出来事をポツリポツリと話出した。
『それで、自分はそういうの全部吸収して糧にしてやる!って思うようにしてたのに、どうしても本人の顔を見ると、その決意も揺らぐというか。千や百ちゃんにそんな顔なんて見せられないし、現場ではなんともないって顔をしていたんですけど』
言いながらまたポロッと1粒の涙が愛聖の頬を伝う。
「まぁ、アレだ。前にも言ったけどよ?ここにいるみんなは、万理さんや社長、それからマネージャーだってみんなお前の味方だろ?どんな小さい事でも大きい事でも打ち明けて吐き出せ?」