第2章 砂漠の月71~150
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月子は夕飯の材料を買いに行くという市とそれを追いかけた兄の元就を見送って、隣に立っている晴久を見上げる。
「ん? 月子はどうするんだ?」
「うーん……晴久さんは?」
「俺か? 俺は特にこの後は予定ないから月子がどっか行くならついて行きたい」
視線があって月子が聞く前に晴久に聞かれ、思いつくこともなかったので逆に聞き返せばさらっと一緒にいたいという結論の返答を返されて月子は頬が熱くなる。
「え……っと、私も用事ないから帰るだけなんだけど、どうしよう」
「なら、今日俺んち泊まって夕飯作ってくないか?」
「泊まるの?」
「嫌なら帰りは送るけど、出来たら独り占めしたい」
再度予定を聞き返されて思い浮かべながら答えると、晴久は繋いでいる手を持ち上げて月子の手の甲に唇を寄せながら強請る。
月子は晴久の頼みにきょとんとした表情をしたが、頷いた晴久の残念そうな表情とチラリと見せられた独占欲にトクリと心臓が跳ねた。
一緒に居たいのは月子も同じで、泊まることに小さく頷くと晴久が破顔する。その笑みに頬を染めながらはにかむと、まずは夕飯の買い物に行こうと歩き出す。
市たちとは違う場所にと晴久が選んだのは小さいながらも賑やかな商店街で、月子とは付き合い始める前から度々行っている場所だった。
付き合い始めてからも何度か行っているが、市や元就も一緒だったのでこうして二人で行くのは初めてだ。
「おう、月子ちゃんに晴坊じゃないか! なんだ、手なんて繋いで! お付き合いでもしてるみてぇじゃねぇか!」
何が食べたいか、冷蔵庫や貯蔵庫には何があるかなど話しながら歩いていた二人は八百屋の前で見知った店主に声を掛けられ足を止める。
ごく自然に指を絡ませ繋いだ手が目に入ったらしく、微笑ましげに笑いながらもからかう気配がして晴久が苦笑する。
「みたいじゃなくて付き合ってんだよ」
「は、晴久さん!」
「ぬぁあにぃ?! 月子ちゃん、本当かっ?!」
「ひゃっ?! ほ、本当、です……」