第74章 融和
というか…
知り合って半年も経たない人と、
長年旧交を温めた人と、
何故前者を頑なに、兼ねてから知っているかのように主張するのか、さっぱりわからない
上っ面がそんなに大事か?
彼がいい人?
僕にはそうは見えない
優しい世界で、特に酷い目に遭いもしないまま、守られてばかりの人間が?
実の父にレイプもされず、精神的虐待も肉体的虐待も性的虐待も何も受けず、同じ屋根の下でずっと暮らした経験がないのに?
彼は、厄介事をより大きくし、無関係なものを巻き込んで、己のみ理想を叶えて、笑って日常を送り続けていられる、「諸悪の根源」でしかない――
周囲の過度の甘やかしが呼んだ事故だろう
彼女は、その経験がありながら、
人を想い、愛し、守る為に、同じ想いをさせない為に、自分を殺すことを選んだ
あの圧倒的な力は――自分が、自分の命が、どうなるかをかえりみていないからこそのものだった
僕等のように、過去を映し出す水晶でも見て全部ありのままを知っているのでもあるまいし…
彼女の場合…
どれほどの凄惨な身の上であろうと、
必死に、生まれ落ちてから今に至るまでも頑張り続けてきた
同じ想いを、痛みを、哀しみを、味合わせまいと一心に奮闘する
だから、信頼しているし、今回のことも癌だけの為じゃない、全部の為に繋がることをして、全部を守ってみせた、出来る限りではあるが…
でも救えとしか望まないのだろうね、癌のことだから――図々しく、いけしゃあしゃあと
自分でしたことを背負って成長しよう、ともしなかった、頑張らなかった分際で…
自分で決めて、自分の手でやったことを、やってもいない人にその罪と責任を擦り付け、
全てにおいて、その人達に責任を取らせ、ギルドから処罰を与えられることになった後もなお、
まるで意に介さず、堂々と街に居座り、自らが傷付けた人相手にも気付かず、何も悪いことをしていないという顔で闊歩する
ルアンに罪を擦り付け、フレイヤに罪を擦り付け、今度は間接的な要因になった人に罪を擦り付け、
沢山の人達を、自分の都合や勝手で振り回し、勝手に扱い、弄び、自分達だけ大した実害もなく日常を送り続ける
責任も罪も一切負わない、子供の我が儘で
その上で騙るのだ――正義を――善人を――英雄を―――
怒りを抱くな、怒るな、という方がまず無理だ――