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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で


さらっと笑いながら言うが、今この人私が部屋を出てからって言ったよね?つまり、私が部屋を出るタイミングもこの人は知ってたのか。そしてあの廊下で立ってたのも、迷ったから案内してくれっていうのも全部仕組まれてたってやつなのでは……いつもは後ろを付いてくるメイドさんが来なかったのは、来なかったじゃなくて来れなかった…。勿論結界の中なのだから途中で他の誰かに会うことは無い。本当にこの部屋で私はルシスさんと二人っきりになっていたのだ。
まさか自分の家だと思っているこの屋敷でそんなことが起こっていたなんて、ちょっと背筋が寒くなった。

「フフフ、私が怖いですか?」

「えっ…いや、その……」

まさに今思っていたことをストレートに言われてしまってはどう返答したらいいかわからない。

「素直でいいですね。…貴女はそれでいいんですよ。少し、厳しいことを言うことになりますが、安易に他人を自分のテリトリーに入れてはなりません。人と関わるな、信じるなとは言いません。ただ、どんなに親しくなったと思っても、その距離感だけは守りなさい。」

「……ルシス、さんは…その、距離を保たなくてはいけない人ですか?」

「フフフ、さぁ…どうでしょうね。」

どこか悪戯に笑うルシスさんは、きっと私のために言ってるんだろうなって思った。何も知らない私が、私自身を守るために。
きっとこの先、本当に誰も助けてくれない時があるかもしれないから。

そう思うと、何だかこのちょっと意地悪なルシスさんがとても優しい人に思えた。

「、私は…ルシスさんの事、もっと知りたいです。」

私はおかしな事を言ってしまったみたいで、ルシスさんは鳩が豆鉄砲でも喰らったような顔をした。

「困りましたねぇ…全く、貴女は私の話を聞いていましたか?それとも、理解した上でのその言葉でしょうか?」

「え、何……、ひゃっ、?!」

突然、何かに強く引っ張られるような感覚がしたと思ったら、何と私はルシスさんの膝の上に座っていた。しかも向かい合わせに!

「、えっ、なんで?わ、わたし…向こうに座ってたはず…」

「ほら、そういうところですよ。もう少し人を警戒しなさい?こんなにも可愛らしいのに、簡単に捕まえられてしまうだなんて、困るのですよ。」

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